大阪高等裁判所 昭和63年(行コ)54号 判決 1989年7月19日
京都市右京区西院春栄町二一
控訴人
本持宏和
右訴訟代理人弁護士
高田良爾
京都市右京区西院上花田町一〇の一
被控訴人
右京税務署長
関稔
右指定代理人
高須要子
同
石田一郎
同
中西基勝
同
丸田隆英
右当事者間の頭書控訴事件につき、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
一 当事者の求めた裁判
1 控訴人
(一) 原判決を取消す。
(二) 被控訴人が控訴人に対して昭和五七年三月三日付でなした控訴人の昭和五三年分、昭和五四年分及び昭和五五年分の所得税の更正処分(但し、昭和五四年分については審査裁決により一部取消された後のもの)のうち、原判決添付別表1の確定申告欄記載の各総所得金額を超える部分をいずれも取消す。
(三) 控訴費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。との判決。
2 被控訴人
主文と同旨の判決。
二 当事者間の主張
原判決の事実摘示と同じであるから、これを引用する(但し、原判決五枚目表六行目の「本件処分」の次に「による更正額」を加える。)。
三 証拠
原審及び当審記録中の各証拠目録記載のとおりであるから、これを引用する。
理由
一 当裁判所も、控訴人の本訴請求は失当として棄却を免れないものと判断するものであるが、その理由は、次のとおり訂正、付加するほか、原判決の理由説示と同じであるから、これを引用する。
1 原判決七枚目裏末行の「原告本人尋問の結果」を「原審における控訴人本人尋問の結果」と改め、同八枚目裏三行目の「窺えない。」の次に「又、当審における控訴人本人尋問の結果により真正に成立したものと認められる甲第二八号証並びに右控訴人本人尋問の結果によっても、調査担当者のなした控訴人に対する右税務調査に違法の廉があると認めるに足りず、他にこれを認めるに足る証拠はない。」を加える。
2 同九枚目裏三行目から一〇行目までを次のとおり改める。
「3 原審及び当審における控訴人本人尋問の結果によって真正に成立したと認める甲第一ないし第三号証の各三並びに右控訴人本人尋問の結果を総合すると、給料賃金は、昭和五三年分は六四七万八三三七円、同五四年分は五七六万六〇〇〇円、同五五年分は六五〇万七三九〇円であることが認められる。控訴人本人は、同五四年、同五五年に通勤費としてそれぞれ三三万六〇〇〇円を支払った旨供述するが、これだけでは右事実を認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない(なお別表6の1は、当初、控訴人においてもこれを認めて争わなかったものであるところ、その後控訴人において別表6の2のとおりその主張を改めるに至ったので、被控訴人はこれを自白の撤回であるとして異議がある旨主張するが、右の如き間接事実についての自白は拘束力を有しないから被控訴人の右主張は理由がない。)。
4 以上に認定したところによると、売上原価は、別紙添付売上原価一覧表(原判決添付別表3を訂正したもの)記載のとおりとなる。」
3 同一〇枚目表一行目及び同一三枚目表四行目の「原告本人尋問の結果」をいずれも「原審における控訴人本人尋問の結果」、同一二枚目裏六行目、同一三枚目表末行及び同裏一行目き「その本人尋問」をいずれも「原審における控訴人本人尋問」と、同一三枚目裏末行の「右原告」から同一四枚目表一行目の「できない。」までを「この点に関する前掲甲第二八号証並びに原審及び当審における控訴人本人尋問の結果はいずれも採用し難い。」と、同一四枚目裏五、六行目の「原告本人尋問の結果」を「原審及び当審における控訴人本人尋問の結果」と各改める。
4 同一一枚目裏七行目から同八行目にかけての「別表2」を「別紙添付事業所得計算書」と改める。
5 同一二枚目裏二行目の「別表2」を「別紙添付事業所得計算書」と改め、同三行目の括弧内を削除する。
6 なお、控訴人は、原判決の認定、判断を非難するけれども、右のとおり補正して引用する原判決の認定、判断はその挙示する証拠によればこれを相当として是認することができ、控訴人が当審において提出する前掲甲第二八号証並びに当審における控訴人本人尋問の結果によっても右認定、判断を左右するに足りず、他にこれを覆すに足る証拠はない。即ち被控訴人が本件係争各年分についてなした本件各事業所得金額についての推計は合理的であって、これを疑わしめるに足る事由は存しないものというべきである。
二 よって、右と同旨の原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、控訴費用の負担につき民訴法九五条、九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 長久保武 裁判官 諸富吉嗣 裁判官 鎌田義勝)
事業所得金額の計算(原判決添付別表2を訂正したもの)
<省略>
売上原価一覧表(原判決添付別表3を訂正したもの)
<省略>